鍼灸(しんきゅう)とはそもそもなんでしょう?
ここで言う鍼は「身体に刺すことで、様々な病気の治療を行う道具のこと」を指します。
またお灸は、モグサという薬草を乾燥させたものを皮膚の上で燃やし、治療効果を得る行為のことを指します。
鍼とお灸のことを一言で鍼灸と言い表していますが、必ずしも同時に使うものではありません。
(なお、当院では鍼を専門にしている為、お灸をほとんど使うことがありません。)
今回は、鍼とお灸は実際にどう使うのか、どんな効果があるのかをできるだけわかりやすく紹介します!
鍼ってどんなもの?
鍼といっても実はいろいろな種類があります。
世の中には注射針、裁縫で使うまち針などいろいろな種類の針があります。
その中で、人体に刺す鍼というものは毫鍼(ごうしん)と呼ばれ、鍼灸院で鍼をうつ=毫鍼をうつという場合が多いです。
毫鍼は、注射針やまち針と比べて非常に細く、髪の毛ほどの太さです。
▲毫鍼を打っている写真
その他にも、てい鍼という”刺さない鍼”や小児鍼という小児用の”触れるだけの鍼”など、治療の為に使う鍼にも色々な種類があります。
一般に鍼治療をいえば、毫鍼やてい鍼、小児鍼を使う治療行為のことを指します。
また、針と鍼の違いを聞かれる場合がありますが、ほとんど同じ意味と思ってください。
ただ、このブログでは僕らが治療行為に使う鍼=「鍼」
注射針やまち針など、それ以外の針=「針」
で統一させていただきます。
鍼はどうやって使うの?
当然のことながら、いきなりブスッと鍼を刺すわけではありません。
まず症状に合わせてうつ場所(ツボ)を選びます。
ツボの大きさは米粒くらいの大きさなので、外さないように当院ではこの時点でペンでマークをつけています。
そして、ツボが決まったら鍼をうつ・・のですが、ここで超重要アイテム「鍼管(しんかん)」の登場です。
▲この透明の筒上のものが鍼管です。
鍼管の役目は、鍼の痛みを和らげること。
使い方は、この鍼管に鍼を入れてます。
▲鍼管に鍼をいれた図。
鍼に対して鍼管の方が数ミリ長いため、写真のように鍼の頭が飛び出しています。
この飛び出した頭の部分をトントンとたたくことによって、鍼を身体に刺します。
▲今まさに、鍼を打つ瞬間のところです。
そのまま打てば高確率で痛い鍼も、筒上の鍼管が身体に触れていることによって、鍼の痛みが緩和される、という仕組みです。
こうして鍼を身体に打った後は、もう少し深く刺したり、すぐ抜いたり、そのまま数分待っていただいたりと症状によって違ってきます。
鍼を抜いた後、元あった症状がどう変化しているのか確認する、という流れが一般的な治療の流れです。
お灸はどうやって使うの?
さて次はお灸なんですが、先に書いた通り、当院はお灸はほぼ行っておりません。
ですので、今回は簡単な説明に留めさせていただきます。
お灸は、もぐさというヨモギの葉の裏の綿毛という白い部分が主成分です。
▲ヨモギ。草餅はヨモギで出来てます。
このヨモギを採取し、乾燥させたものがもぐさと呼ばれるものです。
乾燥したヨモギから採れるもぐさの量は200分の1というから驚きです。
▲もぐさです。
このもぐさを小さくちぎり、皮膚の上に置いて線香で点火。
熱さがぎいぎり我慢できる手前くらいで取り除く、というのが一般的なお灸の使い方です。
よくおにぎりみたいなお灸を肩に乗せて燃やしている描写がありますが、あんなことはまずありません。
実際にぼくらが使う大きさはこれくらいです。
▲人差し指の関節の上の小さいものが実際に使うもぐさの大きさです。
最近は「せんねん灸」という家庭でできる簡単なお灸も出回ってます。
それいついては効果を実証するブログを書いたので、お灸に興味ある方はどうぞお読みください。
どんな効果があるの?
・鍼を打った場所に対する鎮痛効果
・全身への鎮痛効果
・免疫力の向上(炎症を抑える効果)
鍼はそれこそ打ち手や治療法によって効果が違うものですが、現在科学的に認められている効果は上記の3つです。
また、特徴的なのは、比較的すぐに効果がわかること。
鍼を打つ前に痛かった場所も、鍼を打った後に動かしたりすると痛みが減っている。
この即効性こそが鍼の特徴です。
なぜ鍼をうつのか?
鍼と聞くと、どうしても「痛そう」「怖そう」なイメージが先行しますよね。
しかし、ただ痛いだけのものならあっという間に廃れていくはずですが、そこは2000年前からずっと医療行為であり続けるだけの効果があります。
鍼が得意な症状は多岐にわたりますが、”病院で原因がはっきりわからない症状”または”ストレスからきている”と言われる症状に特に効果があります。
頭痛、肩こり、腰痛、膝の痛み、お腹の症状、生理痛・・。
あげればキリがありません。
いくら文明が進歩し、人間のやることが減っていっても、身体の悩みはまだまだなくなることはなさそうです。