逆流性食道炎

逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎とは胃の中の酸が喉や口に逆流することで胃もたれ,胸焼け,喉の痛み,口の中が酸っぱいなどの様々な症状が起きる病気です。

自分も経験ありますが,胃だけでなく口や喉など,顔に近いところの症状が出るので非常に辛い症状です。

かつては欧米人に多い病気でしたが,食生活の欧米化による胃酸の増加,ピロリ菌の除菌率の上昇により日本人の約10%がかかっているとされ,増加中です。

現在は食道に炎症を認める逆流性食道炎と,炎症の兆候のない非びらん性胃食逆流症を合わせて胃食逆流症と呼ばれています。

 

逆流性食道炎の症状は?

症状は胃もたれ,みぞおちの痛みなどの胃の症状と,喉の痛み,咳,口の中が酸っぱいなどの胃以外の症状の2種類があります。

なかには,胃の症状はないのに喉の痛みや咳のみ存在する場合もあります。

逆流性食道炎で喉が痛い,つかえる

逆流性食道炎による胃酸の逆流で喉や食道の粘膜が刺激され,痛みやつかえ感に苦しむことがあります。

食事,会話,呼吸など日常生活への影響が大きい症状です。

ヒステリー球や梅核気(ばいかくき)などと呼ばれ,原因がわからずに苦労されることもあります。

傾向として朝や夜間に症状が強くなることがあります。

喉の痛みについて詳しくはこちら

胸焼け

胃酸が逆流することで胸焼けが起きることがあります。

胸やけは「胸の中を熱いものがこみあげてくる」「胸が焼けるような感じがする」症状です。

逆流性食道炎の方の8割が胸焼けの訴えがあり,逆流性食道炎特有の症状です。

特に食後に胸焼けを起こす方が多いです。

胸やけに関して詳しくはこちら

胃もたれ

胃が重たい,食べ物が残っているような消化不良,気持ち悪さを感じるのが胃もたれです。

背景には胃の働きの低下があると考えられています。

この症状が主の場合は逆流性食道炎より機能性ディスペプシアの可能性が高いです。

胃もたれについて詳しくはこちら

みぞおちの痛み

みぞおちはちょうどこの場所になります。

ここが痛い場合はまず検査で原因を特定するべきです。

というのもみぞおちの痛みは胃炎,胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胆石など様々な原因が考えられるからです。

検査で異常がないのにみぞおちが痛む場合は逆流性食道炎や機能性ディスペプシアの可能性が高いといえます。

呑酸

呑酸はどんさん,と読みます。

胃酸が口の中に逆流することで口の中が酸っぱかったり,気持ち悪い,味がわからないなどの症状が出ます。

うがいをしたくなったり,はみがきをしたりして,口をゆすぎたくなる人も多いのではないでしょうか。

ドライマウスのような症状が出る場合もあります。

呑酸について詳しくはこちら

げっぷが出る

げっぷは逆流性食道炎でよくみられる症状です。

呑酸や胸焼け,吐き気と区別がしにくく併発している場合もあります。

さらに空気を飲み込んでしまう呑気症という別の症状もあるためその区別は専門医にしてもらう必要があるでしょう。

簡単にいえば,ゲップは胃の中に溜まった空気が上がってくる現象をさします。

吐き気のように胃の内容物があがってくる感覚や

胸焼けのように熱いものがあがってくる感覚とも違います。

自分の経験上,逆流性食道炎や機能性ディスペプシアでは胃の運動に問題が生じていることが多いので,結果的にげっぷ症状が多いです。

本来ならでないはずのげっぷ症状が胃の運動によって出てしまう,と考えています。

咳も逆流性食道炎の症状の1つです。

一見関係なさそうな症状ですが,逆流した胃酸により喉の粘膜が過敏になり咳が出やすくなります。

また胃酸が気管の方に侵入し,その反射で咳が出る,という話もあります。

ひどい例では咳で夜に眠ることができず,不眠症状を訴える方もみえます。

逆流性食道炎はさまざまな症状が出ますが咳→不眠のように症状が連鎖する場合があります。

咳の原因が逆流性食道炎とわかるまで時間のかかるケースも多いため,悩んでいる方の多い症状です。

 

吐き気

げっぷや気持ち悪さとセットで出現することの多い症状です。

吐き気が起きるのは,胃酸の刺激で過敏になった食道粘膜に食べ物などが触れると吐き気が出やすいためです。

とくに喉に異物があたると嘔吐反射がおきやすく,吐き気の原因となります。

人によってはうつぶせ(下向き)に寝たり,上向きで寝ると気持ち悪さと吐き気に襲われる場合があり,睡眠障害の原因となり得ます。

逆流性食道炎つわりとの違い

正直にいうと,つわりと逆流性食道炎の区別はかなり難しいものです。

とくに気持ち悪さ,吐き気そして呑酸(口の中が気持ち悪い)などは似ているため,つわりなのか逆流性食道炎なのかわからないまま苦しむ方も多いです。

妊娠中の安易な市販薬の服用は危険なため,必ず担当の医師に相談してください。

鍼灸の領域では,胃のツボにアプローチすることで症状の変化,回復を目指します。

お腹に鍼をうつことなく,逆流性食道炎の症状にアプローチすることが可能です。

 

逆流性食道炎かどうかチェックする

逆流性食道炎なのか気になる方はまずこのFスケールをチェックしてみてください。

質問 ない まれに 時々 しばしば いつも
Q1   胸やけがしますか? 0 1 2 3 4
Q2   おなかがはることがありますか? 0 1 2 3 4
Q3   食事をした後に胃が重苦しい(もたれる)ことがありますか? 0 1 2 3 4
Q4   思わず手のひらで胸をこすってしまうことがありますか? 0 1 2 3 4
Q5   食べたあと気持ちが悪くなることがありますか? 0 1 2 3 4
Q6   食後に胸やけがおこりますか? 0 1 2 3 4
Q7   喉(のど)の違和感(ヒリヒリなど)がありますか? 0 1 2 3 4
Q8   食事の途中で満腹になってしまいますか? 0 1 2 3 4
Q9   ものを飲み込むとつかえることがありますか? 0 1 2 3 4
Q10  苦い水(胃酸)が上がってくることがありますか? 0 1 2 3 4
Q11  ゲップがよくでますか? 0 1 2 3 4
Q12  前かがみをすると胸やけがしますか? 0 1 2 3 4

【出典】草野元康 臨床と研究 82巻2号 379頁~382頁(2005)M.Kusano et al. : J Gastroenterol., 39,888(2004)

 

このFスケールが合計8点以上の方は逆流性食道炎の可能性が高い状態です。

ただ安易な自己判断はせず信頼できる医療機関で診察をうけてください。

逆流性食道炎の原因は?

逆流性食道炎の原因は様々な説があります。

よく言われるのは食道と胃の間にある下部食道括約筋の緩みです。

下部食道括約筋は胃酸の逆流を防ぐ役目があります。

この働きがよくないと胃酸が逆流しやすくなると言われています。

胃全摘術,噴門側胃切除術などの外科手術の際にはこの高度な調節機構を持つLESが切除されるため術後に逆流性食道炎が発生することが知られている(関 根 ら,1987).しかし,LESが切除されない幽門側胃切除術後(以下,胃切除術)にも逆流性食道炎の発生が報告され(河野ら,1991).

出典:下部食道括約筋運動に対する迷走神経因子に関する 実験的および臨床的研究

注:LES=下部食道括約筋

下部食道括約筋を手術で摘出すると逆流性食道炎になりやすいが,胃の他の場所をとっても逆流性食道炎が発生するよ,という話です。

このことから必ずしも下部食道括約筋のゆるみ=逆流性食道炎だけではないことがわかります。

暴飲暴食,タバコ,お酒などの生活習慣や猫背,ストレスなどが原因と言われています。

特に脂肪分の多い食事は分解のためにコレシストキニンというホルモンの分泌を促し,これが下部食道括約筋の弛緩を誘発します。

またよく噛まずに食べることで胃の負担が増加してしまいます。

逆流性食道炎の原因はストレス?

逆流性食道炎はストレスが原因とよく言われます。

そもそも胃はストレスの影響を受けやすい臓器なので,逆流性食道炎の原因がストレスというのも納得がいく話です。

 

逆流性食道炎とピロリ菌

ピロリ菌を除菌すると,逆流性食道炎になりやすくなります。

なぜならピロリ菌によって胃酸の分泌が抑えられており,除菌することで胃酸の分泌が増加します。

とはいえ,ピロリ菌は胃がんの原因となりうるので,除菌するべきだと思います。

逆流性食道炎 治し方

逆流性食道炎は何科に行くの?

逆流性食道炎は胃や喉の症状に加えて喉の痛み,咳,胸の痛みや鼻,耳の症状と多彩です。

症状に合わせて病院を選ぶべきですが,

胃の症状ー胃腸科,消化器科,内科

喉,鼻,耳の痛みー耳鼻咽喉科

咳ー呼吸器

となります。

昔ならいざ知らず,現代で逆流性食道炎の存在を知らないことをありえないので,まず症状のある疾患でかかる科をきめましょう。

逆流性食道炎の治療期間はどれくらい?

治療期間の平均データはありませんが,お薬だと2週間〜1ヶ月単位の投薬治療になることが多いようです。

逆流性食道炎での寝方

夜眠るときにどの姿勢がいいか?というのはよくある質問です。

まず横向きでねる時は右側を下にする方がいいようです。

これは胃の形の問題で,右を下にする方が胃酸がたまりにくいと言われています。

また上向きで寝る際は枕を高くするしたりして,逆流を防ぐ方法があります。

健康な人でも一日に50回は逆流しますが,逆流の回数も問題ですが,胃液が食道内に留まる時間も大事です。

逆流性食道炎でセルフケアする方法とは?

セルフケアとは自分で治す,とまで言わないまでも自分で対応することです。

逆流性食道炎の症状に悩んでいる方にとって,自分でケアする方法はとても重要ですよね。

  • 早食いをやめてよく噛むだけで,胃の負担は減ります。
  • 食べ過ぎに気をつけましょう。

 


ここに詳しく買いてありますが,胃に優しいものを食べ,胃に優しくないものをやめるだけで変わる場合もあります。

まだやってない方は少しずつでいいので,トライしてみてください。

逆流性食道炎にはゾンビ体操が効果的?

胃弱のトリセツという本で解説されているゾンビ体操という体操があります。

ゾンビ体操の特徴は誰でもできるほど簡単でありながら,運動量は歩くときの3倍しかも心と体をリラックスさせるという点です。

出典:胃弱のトリセツ

やり方は,お腹から下はどっしりさせながら,肩から先をブラブラさせる,というものです。

体をリラックスさせて,胃の働きをよくするとのことですが,胃の調子が悪いときはこの動きで気持ち悪くなるかもしれません。

動画でも紹介していますがこれなら上向きボード漕ぎ体操の方がリスクが少ないと思います。

逆流性食道炎の予防法は?

国が予防医学を推進したり,ジムの費用を税金の控除対象にしようとしたりと,予防の重要性は増すばかりです。

では逆流性食道炎の予防はどうしたらいいのでしょうか?

まず絶対的の予防法はありません。

悪い習慣だらけでもならなかったり,節制に気をつけていてもなってしまう場合もあります。

なので,ここでは一般的に予防できると言われている方法についてご紹介します。

・よく噛む

すでに各所で言われていますが,早食いしてよく噛まない食生活をしていると,胃への負担が大きくなります。

本来なら噛むことで食べものを小さくして,胃の負担を減らしています。

噛まなければ食べものが大きいまま胃に到達してしまうため,胃の負担が大きくなります。

つまり,噛むことが予防になるというわけです。

 

逆流性食道炎はトレーニングで治る?

よく横隔膜トレーニングと銘打ったものが紹介されたりしていますが,正直なところ,かえってお腹に刺激を与えて状態を悪化させることが多いです。

色々な意見があるとは思いますが,僕はおすすめはしません。

逆流性食道炎とストレスと鍼の関係

まず鍼治療はストレスを軽減する効果があります。

出典:鍼灸治療でリラックス

また胃や食道,そして食道括約筋の働きに関わる自律神経の調整も鍼の得意分野です。

体性内臓反射という仕組みを使って,体に鍼をすることで内臓の働きを調整します。

当院は逆流性食道炎,機能性ディスペプシアの治療にとくに力をいれています。

逆流性食道炎のツボ

よく使うツボ

・合谷 詳しくはこちら

・曲泉 詳しくはこちら

のように

逆流性食道炎の際は手や足のツボを使います。

 

逆流性食道炎の薬

胃酸分泌抑制薬,制酸薬,胃粘膜保護薬,消化薬,健胃薬,鎮痛鎮痙薬,総合胃腸薬などがあります。

PPI(プロトンポンプ阻害薬)は胃酸分泌抑制薬になります。

 

逆流性食道炎の時の飲み物,食事は?

逆流性食道炎の際食べもの,飲み物はどうしたらいいのでしょう?

より詳しくみていきましょう。

飲み物編

飲まない方がいいもの

お酒・・胃酸分泌するので控えましょう。

サイダー・・炭酸は胃の中で気泡が膨張するので,気持ち悪くなる可能性が高いです。

りんご酢・・・酢そのものが胃粘膜を刺激するので避けたいです。

コーヒー,紅茶・・・カフェインは胃酸の分泌を促します。

ココア・・・意外ですが,甘いものも胃酸の分泌を促します。

トマト ジュース・・トマトジュースのphは5なのでやや酸性です。

飲んでもいいもの

麦茶・・カフェインゼロで安心です。

デカフェ・・カフェインとは違い,本当にカフェインゼロなのでおすすめです。

白湯・・一番おすすめしたいです。温度も常温なら胃に優しいですよ。

牛乳・・乳脂肪は粒子が小さく消化されやすいです。また粘膜を保護してくれるのでおすすめです。

賛否両論な飲みもの

番茶・・・番茶はカフェインゼロではありませんので,飲んで調子が悪くなった方はお控えください。

 

逆流性食道炎のときに食べていいもの,良くないもの

一般的に胃への負担になるもの,ならないものを書いています。

正直個人差がありますし,栄養状態が偏るのも疑問なので,多少は飲み食いしてもいいというのが今の所の自分の実感です。

おすすめな食べもの

わかめ・・水で戻すと固いので一度お湯で戻すと柔らかくておすすめ。

キャベツ・・胃酸を抑制する働き。

バナナ・・消化にいいのでおすすめ。

ヨーグルト・・牛乳と同じくおすすめです。

ゼリー・・喉のつかえが酷いときも食べられる貴重な戦力です。

控えた方がいい食べもの

ピーナッツ・・消化が悪いのでやめましょう。

トマト・・ph3の食べものであり,胃酸を分泌させます。

ピザ・・チーズに脂肪分が含まれます。

グラタン・・同上です。

チーズ・・同上です。

ゆで卵・・ゆで時間にもよりますが固いと消化によくないです。

グラノーラ・・糖質が多くものによっては脂質も含まれます。

ケーキ・・バターが含まれているものは胃もたれしやすいです。

チーズ ケーキ・・チーズはともかく,ケーキと同じくバターが含まれているとマズイですね。

パスタ・・パスタ単体はともかく,オリーブオイルやニンニクが胃への負担が大きいため非推奨です。

グミ・・グミのなにが作用するか不明ですが合わない方が多いです。

チョコレート・・脂肪が多く含まれます。

パイナップル・みかん・りんご・グレープフルーツ・・柑橘類は食道や胃粘膜を刺激するので非推奨です。

オリーブ オイル・・脂肪分なので避けましょう。

バター・・同上。

わさび・・香辛料は避ける方が無難です。

賛否両論なもの

はちみつ・・当分が胃に良くないという意見もありますが,胃粘膜を保護してくれる作用があります。

パン・・消化にいいと言われる反面,否定する意見もあります。現在調査中です。

逆流性食道炎と鍼灸

逆流性食道炎に対して鍼で自律神経の働きを整える,という施術をします。

胃の働きは自律神経によってコントロールされています。

そのため,ストレスなどを受けると働きが乱れたり,胃粘膜の働きが弱り胃の痛みに繋がったりします。

ストレスそのものを減らすことももちろん大切ですが,まず乱れているお体の状態を整えることで胃の本来の働きを取り戻します。

具体的には,鍼による体の表面の刺激が内臓の働きに影響します。

これは体性内臓反射といい,この仕組みを使って施術をすすめていきます。

 

お腹の硬さを確認し,そこの部分が柔らかくなるように施術していきます。

逆流性食道炎の症状がある方はみぞおちや肋骨の下辺り硬くなることが多いです。

お腹の硬さがとれると症状も治ってくる場合が多いです。

シンプルですが,このような流れになります。

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