腰痛・股関節の症例07 多裂筋性腰痛と自己診断して来院された例

患者

40代 男性

症状

年に数回、ぎっくり腰になって動けなくなることを繰り返している。

来院の2日前、起床時に腰に強い痛みを自覚。

知人に勧められた接骨院に行ってみたが、あまり変化がない。

自分でネット検索され、「多裂筋性腰痛」ではないかと考えていた。

現場仕事で動かなければまずい為、杖をつきながら距離の近い当院に来院。

多裂筋の位置

治療内容

1回目

杖をついて来院されるほど、腰の痛みが強い状態であった。

問診で話を伺うと、神経的な所見がみられない為、鍼の対象とした。

とにかく歩くこと、階段の昇り降り、寝返りが辛い。

また、立った状態で前屈も後屈も痛みが強く、厳しい状態である。

かなり症状が強い状態の為、うつ伏せは難しい為、仰向けでまず活法の腰痛3手を行ったところ、全体的に痛みが減ったとのこと。

このあたりで少し笑顔が見られるようになる。

多裂筋性腰痛ということで、確認すると腰のあたりの張り感が存在した為、

短時間でうつ伏せになって頂き、膝にあるツボに刺鍼。

立ち上がってもらうと腰のあたりの張りは消え、前屈はかなりよくなった為、初回の治療を終了。

 

2回目

前回の治療後、翌日の午後からは調子がよかったとのこと。

とはいえ、当然まだ痛みは残っているので来院。

全体的に症状は楽になっているが、やはり階段の昇り降りと起き上がりの時が辛い。

また、関連して靴下を履くと腰が痛いとのこと。

まず股関節に関わる足のツボに鍼をすると、靴下を履く動きはかなり楽になる。

さらに足をあげる動きに関わるツボにも反応があった為、刺鍼。

同様に、足をあげる動きに良い変化がみられた。

最後に起き上がりに関わるツボに刺鍼して、2回目の治療を完了した。

 

3回目

前回の治療がかなり良化したが、寒い中に徹夜作業をしたことで再び腰痛が出てしまったとのこと。

やはり起き上がり、歩行が辛いので、患者さんの動きを注意深く観察すると、腰を曲げて戻すときに痛みが出ていた。

また、股関節の周囲を触診すると、腰痛に関わるツボにはっきりと反応が出ていた。

動きとツボの反応が一致していた為、対応する2つのツボに鍼をする。

鍼を抜いて動いてもらうと、今までで一番痛みがなく、問題なく動けるとのこと。

起き上がりはもちろん、腰の前屈・後屈にも問題がないことを確認して治療を完了した。

考察

ぎっくり腰を繰り返す患者さんは実は多い。

ぎっくり腰が癖になるという表現を使う場合もあるが、癖ではなく「原因が残ったまま」であることが原因と考えている。

今回の例では、3回目に原因である股関節のツボに刺鍼したことで、激しかった症状が患者さん本人も驚くほどはっきり消失した。

痛む場所ではなく、患者さんの動きとツボの反応を観察することが大事だと改めて思わせられる症例であった。