機能性ディスペプシアと逆流性食道炎
「逆流性食道炎でも胃もたれしますか?」「機能性ディスペプシアでもこんな症状が出るでしょうか?」って質問をよくいただきます。
そう,逆流性食道炎と機能性ディスペプシアの違い,わかりにくすぎ問題です。
コカコーラゼロとダイエットコーラの違いくらいわかりにくい。
言い過ぎました,もう少しわかりやすいです。
とはいえ,この先何度も聞かれるのであろうこの質問,ここらで2つの違いを整理してしまいましょう!
機能性ディスペプシアとは?
機能性ディスペプシアは2013年から病名の仲間入りをした新米で,胃カメラでみても異常がないのに胃もたれ・胸焼け・胃の痛みなどの症状がある病気,です。
ディスペプシアの意味は消化不良なので,原因のわからない消化不良といったところでしょうか。
かつては神経性胃炎とか呼ばれたりしたものです。
逆流性食道炎とは?
逆流性食道炎を一言で言えば,胃酸が食道やノドに逆流することで胸焼け,ノドの違和感,胸の痛みなどの症状が起きる病気です。
逆流して食道が炎症するから逆流性食道炎なんですね。
でこの逆流性食道炎は非びらん性胃食逆流症と合わせて胃食逆流症と呼ばれます。
オーケー,何言ってるかわからないですよね。
図にしてみましょう。
症状 | 食道粘膜の異常 | ||
胃食逆流症 | 逆流性食道炎 | あり | あり |
非びらん性胃食逆流症 | あり | なし |
つまり食道粘膜に異常がないのに症状がある場合もあるよ,ということです。
この場合は非びらん性胃食逆流症と呼ばれ,逆流性食道炎と区別されます。
(でもこの病名がついてる方はあまり見かけたことがありません)
食道粘膜に異常がなくても胸焼け,ノドの違和感などの症状は出ます。
このあたりが混乱しますよね。
症状の違い
逆流性食道炎と機能性ディスペプシアの症状の違いです。
図でみてもらう方がわかりやすいでしょう。
胃より上が逆流性食道炎で下が機能性ディスペプシア,という分け方で概ね大丈夫です。
この2つがわかりにくい理由
逆流性食道炎と機能性ディスペプシアの違いがなぜわかりにくいか?
それは病名と異なる症状がよくでるからです。
自分も見聞きした中で
- 逆流性食道炎でも胃もたれが主のケース。
- 機能性ディスペプシアなのにノドに違和感
など,病名と症状が異なるケースは結構ありました。
また機能性ディスペプシアと慢性胃炎が併発していたり,機能性ディスペプシアと逆流性食道炎が併発していたりと境界線をはっきりするのが難しい方もよくみえます。
これは一体なんなのか・・・
答えが明らかならここで教えたいのですが,残念ながら確定的な答えはありません。
しかし,1つの仮説はあります。
それは自律神経の問題です。
胃の運動をコントロールしているのは自律神経です。
ですがこの自律神経はストレスに対して敏感なんですね。
こちらでも話していますが,胃酸の分泌量は感情の影響を強く受けます。
察するに,胃の運動も同じように感情の影響を強く受けるのではないでしょうか?
なぜなら,胃酸の分泌も胃の運動も,コントロールしているのは同じ自律神経だからです。
まだ仮説でしかありませんが,鍼治療の効果を積み上げて実証していきたいと思います。