やってみた 鍼の話

鍼100本打たれたらどうなるの?

突然の依頼

この物語は一通のメッセージから始まります。

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舟橋さんにブログネタでやっていただきたいことあります!
先日の整動鍼の時に「100本鍼を受けるとどうなるのか」と話題になりました。
なにかそのあたりで一つ体当たりしていただければ幸いです〜!(余裕があれば)

 

メールの主は紳士的な態度で有名なはりきゅうルーム「カポス」の院長、秋澤先生でした。

一瞬、「変な薬でもやってるのかな?」と思ったんですが、どうやら本気のようです。

突っ込んで聞いてみると、セミナー後の交流会(飲み会です)で「鍼100本受けたらどうなるか」という話が盛り上がり、僕に白羽の矢が立ったというわけでした。

夜中のテンションとは恐ろしいものですね。

夜中に一気に書き上げたブログを朝になって見直すと、とても自分が書いたとは思えない振り切ったブログが出来ていて恐ろしくなることがありますが、秋澤先生もそんな夜の魔力にやられたのでしょう。

頼まれごとは、試されごと

中村文昭

いいでしょう、ここまで頼まれて断ったら名が廃るというもの!

この依頼、受けることにしました。

 

鍼100本とは

思い返せば、かつて僕もたくさん鍼をうつタイプの鍼灸師でした。

鍼100本とは言いませんが、一度の治療で30本以上は打っており、どちらかといえば刺激は強めの治療をおこなっていました。(過去ですよ、過去)

いま考えれば、それだけ打てば少なからず「痛い」ものなんですが、当時の僕は「これは痛いんではなく、効いているんだ!」と自分に言い聞かせ、そして患者さんにもそう伝えていました。

しかし、本当は心の中で「もっと痛くない方法があるのでは・・」と思っていたので、やっていることと理想としていることのギャップが苦しかったですね。

そんなある日、若い男性の患者さんが治療後にポツリと漏らした

「よくなったけど、痛かった。」

その一言がグサっと刺さり、

「今のやり方はどこか自分にも患者さんにも嘘をついている。このままではいけない」

と決意を新たにし、院内改革を進め・・・ああこの話は長い上にテーマと関係ないですね。

つまり、「たくさん打てば効くけど痛い!それでいいの?」という命題を超え、数本の鍼で治療を完結している今があります。

・・・・。

そこで鍼100本です。

鍼100本打てばどうなるか、だいたい予想はできます。

それだけ打てば痛いでしょう。

1本〜数本ならば大丈夫でも、100本打てば体が重だるくなるでしょう。

しかし、100本打ったことはありません。

 

 

なんでもいいから、まずやってみる。

それだけなんだよ。

ー岡本太郎ー

 

オーケー太郎、やってみよう。

 

精鋭、集う

この企画はさすがに1人ではできないので、盟友のふくぎ鍼灸院さんの二人にも声をかけます。すると・・・。

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てっきり鍼100本打たれるのは僕だと思ってましたが、ふくぎ鍼灸院の院長、市川氏がモデルになり、僕が鍼をうつという配役に。

嬉しいような、ちょっと寂しいような、不思議な気持ち。

撮影はふくぎ鍼灸院の代表、北川氏が買ってでてくれました。

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▲市川氏

ふくぎ鍼灸院の院長。180cm超の体躯に元アスリートのスタミナを兼ね備えたタフガイ。泥臭いキャラそのままの広島カープファン。今回のモデル役。

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▲北川氏

ふくぎ鍼灸院の代表。クレバーな頭脳とデータ重視の生き方は往年の野村ヤクルトそのもので、やはり生粋のヤクルトファン。今回の撮影役。

 

そしてノリと勢いで生きているまさに千葉ロッテそのものの僕が鍼を打つ役でお送りします。

 

鍼100本、開封!

まず、鍼を100本用意するところからスタートです。

通常4本1パックで入ってるので、25パック開封しましょう。

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▲数分後は地獄になるとも知らず、楽しそうな市川氏。

とりあえず、鍼100本出してみました。

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▲だれも求めてない重厚感。

 

鍼100本が我々に牙を剥きます。

 

北川氏がシャーレ(この白い鍼入れです)を移動させようと手に持ったその時

「重たっ!!」という大声が上がりました。

氏をよく知る人ならお分かりになるでしょうが、めったなことで大声を上げる人ではありません。

鍼100本の重さは、北川氏が驚きの声と共にシャーレごと落としそうになるほどだったのです。

この企画、なかなかハードなことになりそうです。

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▲さっきに笑顔はどこへやら。ひきつった顔の市川氏。

しかし、ここまできたら引き返すことはできません。

 

いざ開宴

市川氏は首と腰が少し張っているとのこと。

この企画にはそんな情報は不要な気がしましたが、せっかくなので、首と腰を中心に鍼を打っていくことにします。

※いわゆるツボは狙わずに、筋肉にひたすら打っていく方法で行います。

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▲状態を確認。

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▲というわけで打ち始めます。

100本打ってわかったんですがとにかく多いんですね。

10本打った時に「まだ10分の1か・・」とやるせない気持ちになりました。

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▲まだ10本足らず、先は長い。

ここで問題が発生!

僕の鍼100本のイメージと、市川氏のイメージが大きく食い違っていた模様です。

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市川氏は全身にまんべんなく鍼を打たれるイメージだったのに対し、僕は首と腰に集中するイメージでいました。

そのため、気づいた時には左側の首だけに16本打っていました。

※ふくぎ鍼灸院さん・当院共にこのような治療は行いません。

さすがに首と腰だけで100本はきついということで、肩や背中にも打っていきます。

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▲このあたりから市川氏の口数が少なくなってきました。

そして・・

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100本鍼、完了!

忍耐の限界

市川氏は北陸生まれ。

厳しい自然環境の賜物か、彼はとても我慢強い男です。

そんな彼がつぶやきました。

「頭が重たい・・」「鍼を抜いてほしい・・」

 

なんということでしょう。

6年ほどの付き合いになる友人が初めてもらす弱音の原因が、僕の鍼だったのです。

治療道具である鍼も、使い方次第でこのような結果になります。

 

関連記事:鍼灸に副作用はあるのか、正直に語ります。

 

すぐさま鍼を抜いていきますが、これがまた本数が多いのなんの。

自分ならこんな治療は絶対できないなと思いつつ、ひたすら鍼を抜いていきます。

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▲3秒に1本抜いても5分かかるペース。

なんとか完了。

 

治療後の変化

 

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▲解放感がやばい。

なんとか起き上がった市川氏に、鍼100本打たれた感想を聞くと・・

市川氏:腰は楽になったけど、首がとにかく重いよ。

市川氏:あと、頭痛がしてきたね。

舟橋:・・・。

 

鍼100本に対する考察

誤解のないように言うと、鍼100本打つと確実にこうなるわけではありません。

また、鍼治療は治療中に寝てしまう方がみえるほど、本来はリラックスできる治療です。

しかし事実として、比較的体力があり鍼にも慣れている30代男性ですら、100本打たれたらこの有様でした。

冒頭の僕の話ではありませんが、やはり本数は少なく打つ方が患者さん・施術者共に楽でいいですね。

 

今回の結論は・・

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あたり前すぎて泣けますね。

 

最後に

これを読んでいるあなたが頭痛で苦しんでいるとして

A.1〜数本の鍼で治療されたい。

B.100本の鍼で治療されたい。

Aの方が多いと信じてこの記事を書きました。

Bの方、ごめんなさい。

当院ではこのような治療は行っていません。

Aの方で治療院をお探しなら

過敏性腸症候群(IBS)専門のふくぎ鍼灸院

そしてグリーンノア鍼灸院へどうぞ!

 

▲昔、僕はこの本を読んで鍼灸に興味を持ちました。

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