院長の話

進撃の整動鍼(3)  活法、襲来

 

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前回までのあらすじ

勢いで開業した鍼灸院は順調だったかに見えたが、どうしても刺激が強いトリガーポイントを治療の軸に据え続けるのは難しいと判断した舟橋。

じわじわ売り上げも下がっていた2015年末、転機が訪れる・・!

と、その前に少し時間を遡ります。

時は西暦2014年5月

ここで2014年5月に遡りましょう。

ちょうどチェゲアスのアスカが逮捕された頃。

僕はまだ開業前で、トリガーポイントの鍼灸院で修行していました。

 

北川直樹という男

ここで1人の重要人物の登場です。

修行先の先輩であり、現ふくぎ鍼灸院の代表、北川直樹氏です。

 

北川さんは、クレバーな頭脳と石橋を叩いて渡らないほどの慎重さが持ち味の人物。

つい最近まで、

1000円のものを買うのに1週間、10000円のものは1ヶ月、それ以上は半年かけて本当に買うべきか考えてから購入していたという逸話の持ち主です。

 

さらに北川さんは仕事を覚えるのが抜群に早く、修行先の厳しい院長も全幅の信頼を置いていました。

僕とも野球好きのサブカル好きという点でウマが合い、仲良くさせてもらっています。

 

当時の修行先はトリガーポイントの治療院なので、一緒にトリガーポイントの話ばかりしていました。

 

活法、心重ねて

しかし、2014年に入ると様子が変わります。

[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="kiran.png" name="舟橋"] こういう症状の患者さんがいてどういう治療がいいか迷ってます[/speech_bubble] [speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="kita.jpg" name="北川さん"] 活法もいいんじゃない?[/speech_bubble] [speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="kiran.png" name="舟橋"] へ?[/speech_bubble]

 

いつも通りトリガーポイント的な解釈がくると思いきや、聞きなれない「活法」(かっぽう、と読みます)という単語が出て来ました。

その後も

[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="kiran.png" name="舟橋"]最近どうですか?[/speech_bubble] [speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="kita.jpg" name="北川さん"] 活法がさ〜[/speech_bubble] [speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="kiran.png" name="舟橋"]・・・。[/speech_bubble]

 

また

 

[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="kiran.png" name="舟橋"]〜って症状の人がいて[/speech_bubble] [speech_bubble type="std" subtype="R1" icon="kita.jpg" name="北川さん"]それ、活法だとこうするよ[/speech_bubble] [speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="kiran.png" name="舟橋"](トリガーポイントの話をしろー!)[/speech_bubble]

 

 

といった具合に、活法の話ばかりするようになってしまいました。

なんなんだ、活法って。

 

小学生の頃、一緒にドラクエの話で盛り上がってたじゅん君が、中学校に入った途端バスケ部に入りエアマックスの話や女の子の話をしだして距離を感じたあの雰囲気。

 

感傷に浸っているうちに、北川さんの活法狂いはさらに進行。

 

なんと、トリガーポイントの治療院にきた患者さんを活法で治療したとのこと。

仏教の総本山でアヴェ・マリアを熱唱するような暴挙に、僕はショックを受けました。

 

「一体どういうことだろう・・。」

「北川さん、あんたどうなっちゃったんだ・・」

 

しかし、ショックを受けてても何も始まりません。

 

尊敬する人に起きた突然の変化に戸惑いつつも、まずは北川さんから活法を受けてみることにしました。

北川さんが心酔する活法とはどんなものなのか、好奇心2割、懐疑心8割くらいの心持ち。

やりにくい相手ですね・・。

 

厚かましくも北川家にお邪魔すると早速

 

「じゃ、上向きで寝て」

 

なんと、床で寝ろいう無慈悲な指示。

トリガーポイントでは、電動ベッドで姿勢にもこだわっていたのに、こんなフローリング(失礼)の上で寝ろだと・・!

 

しかし、ここはもう北川さんのテリトリー。

黙って従う他ありません。

言われるままに仰向けで膝を立てて寝ます。

 

その状態で膝の裏を触れられると、何やら痛みが・・。

そのまま、活法の「膝裏の硬縮取り」を行うと、先ほど痛かった場所がほとんど痛くなくなりました。

what ⁉︎

その間、わずが十数秒。

 

なにが起きたか説明しろと言われても、うまくできません。

 

足首を曲げ、言われた通りに力を抜いただけ。

痛くもない、それどころか、何も感じない。

その後、流れるように外・内腹斜筋の導引、そして梨状筋の導引を行うと、先ほど最初に触られたお腹の横、股関節の部分の痛みが消えていました。

これにはスーパーグレート驚いた!

 

・・人は驚くとボキャ貧になるものです。

 

実はこの時、腰が痛かったのですがわずか数分の施術であっという間に解消してしまいました。

これはちょっと面白いかもしれません。

 

そもそも活法ってなによ?

と、ここまで活法のことを知らないひとを完全に置いてけぼりにする展開でしたが、ここで説明しましょう。

活法とは(中略)柔術(古武術)の裏技として継承されてきた医術のことを指す。

ふむふむ

ルーツは戦国時代にさかのぼる。

当時の武術には人を殺める殺法と蘇生を目的とする活法があった。

表が殺法、裏が活法とされていた。

なるほど。

武術の腕次第で生死が決まる時代(中略)怪我は日常茶飯事であったであろう。

(中略)

その当時、誰もがすぐに医者にかかれる環境ではなかった。

負った傷はその場で癒さなければならなかったのである。

活法研究会(現整動協会)/活法とその歴史より

こういった時代背景もあって武術と共に医術が発展した、と。

その中で、怪我などで動けない人を即座に回復させる手段が活法ということらしい。

*戦場での怪我と聞くと生傷が想像されますが、活法の施術対象は肩こりや腰痛など幅広いです。

 

もともと運動神経が良くないので、武術ルーツと聞いてすこぶる不安になりました。

畳の縁とか、うっかり踏んで怒鳴られそうなイメージ・・。

 

しかし、そんなのは自分の勝手な妄想かもしれません。

気を取り直して活法研究会のwebサイト見てました。

 

活法研究会(現整動協会)のサイトより

 

・・なんか、怪しい^^;

その時は言えませんでしたが、独自色の強いサイトを見て、期待より不安が増しました。

そして料金も、安くはありません。

 

もし、北川さんが僕を騙そうとしていたら・・。

いやいや、仮に騙してたとしても北川さんに得が全くない。

ここは一つ、行動してみよう。

 

心の中にモヤモヤした不安を抱えながら、僕は活法のセミナーを受けに行くことにしました。

(後で知りましたが、北川さんは活法を知ってから実際に本セミナー受けるまで4年かけたそうです・・慎重ですね)

 

活法のセミナー

何種類もある活法のセミナーの中で、僕が受講したのは入門編というセミナーでした。

東京で2日間に渡って行われるセミナーで8種類の活法の技を覚えます。

 

活法は武術から派生しているので、セミナーもドア開けた瞬間に

「押忍!!」

みたいな汗臭い雰囲気だったらどうしようと懸念していましたが、その不安は杞憂でした。

 

まずは講師の方々と受講者の自己紹介でスタート。

活法研究会の代表、橋本聖樹先生のギャグを交えたあいさつで、非体育会系の僕も和みます。

 

その後、副代表の栗原先生の自己紹介。

栗原先生は養気院の院長であり、鍼灸師なら誰でも知っているブログ、鍼灸師のツボ日記を書いているすごい人です。

この鍼灸師のツボ日記きっかけで活法のセミナーを受けにくる人が多いんです。

 

和気あいあいとして雰囲気で自己紹介が終わると、活法とはなんぞや?という講義が小一時間行われます。

活法の基本を抑えたら、いよいよ実技の時間です。

 

時間にして4時間、受講者とひたすら活法の技を掛け合います。

どんなキャリアを持っていてもここでは皆、初心者。

限られた時間を無駄にすまいと、必死にアドバイスを聞いてメモする姿は部活のよう。

 

新しい手技を覚えるのは、体力的に楽ではありません。

おまけに1日目の夜は懇親会があり、講師の方はもちろん、全国の治療家の方と話す時間が設けられているので、ついつい話に花が咲きます。

(自由参加です)

翌日は朝から夕方までひたすら実技。

「体力限界 千代の富士」といったところですが、活法を受けてからだが楽になっているのと、全体的にポジティブな雰囲気もあって、なんだかんだ頑張れちゃうんですね。

 

色々なセミナーを受けましたが、ここまで実技に時間をかけることろはあまりないですね。

そのせいか、セミナーの終わる頃には、ある程度「技が使える」ようになっています。

 

そして汎用性も高いので、明日からすぐ使えます。

というか使わないと忘れます。

 

しかし!

活法研究会は教えて「ハイ終了」の組織とは違いました。

 

オンライン活法

セミナー受講後、1週間ほどで送られてくるDVDで覚えた技を復習可能。

 

さらに一度でも本セミナーを受講するとFacebook内のグループに参加可能になり、そのグループ内で臨床上の悩みや質問をすることができるんですね。

僕もいろんな治療家が集まるオンラインコミュニティに参加してきましたが、だいたいが

・更新頻度が少なめ

・業者さんの宣伝ばかり

・主催者側のフォローがなくて活発さに欠けている

 

など、なかなか機能しているところは少なかったんですね。

 

しかし、活法研究会は

・受講者側の参加率も非常に高く活発で

・有益な情報がシェアされていて

・雰囲気も抜群にいい

 

と、コミュティとして優れているんですね。

どうしてもオフラインに重きを置かざるを得ない手技療法のコミュニティとしては凄いことだと思います。

 

行くまでは怪しいと思っていた僕も、これは学んだ方がいいな・・!と決意しました。

 

活法、導入

初めてセミナーを受けに東京へ行った時、あまりの人の多さに

 

「ここらでお祭りでもあるんですか?」

 

と尋ね、通行人に鼻で笑われたあの日から1年。

 

開業のドタバタもありながら、活法のセミナー「肩こり編」「腰痛編」「骨盤編」を受講し、活法を治療に組み込んでいました。

 

活法のインパクトは強く、特に武術の心得のない僕でも問題なく使用可能です。

活法のなにがすごいかと言えば

早い

同じ腰の痛みが治るのでも、30分かけてマッサージ受けた場合と、一瞬の技で痛くなくなった場合ならば、後者の方がインパクトは大きいですよね。

インパクトが大きいを通り越して、笑っちゃう方が多いです。

また、施術者も患者さんも、本来使うはずだった施術時間を別のことに使うことができます。

奥が深い

初心者でも使えるということは、いくら練度を積んでもあまり効果が変わらないのでしょうか?

そんなことはありません。

実際に受けるとわかりますが、初心者と熟練者では同じ活法でも効果が違います。

例えるなら、ドラクエのメラをメラゾーマ級の威力に高められると思うと、奥が深いと思いませんか?

ダイの大冒険より

コミュニケーション

専門学校時代、マッサージ理論や医療概論で出てきた「導引」は活法の概念です。

この導引は、患者さんとコミュニケーションとりながら行うので、治療というよりは体験に近いんですね。

実際、患者さんも結構楽しそう。

治療院だとどうしても「ここが悪い」「良くない」などのネガティブワードが多くなりがちですが、活法を使うとそのあたりの雰囲気も変わります。

これは大きな変化でした。

 

Jesus can't save me

当時やっていたトリガーポイントに加え、活法も加えてさあ開業・・・!

 

だったのですが、そんな簡単にうまくはいきませんでした。

「技術があればうまくいくだろ」

そんなありがちすぎる思いこみが、グリーンノア浮上の足かせになっていたのです。

 

つづく・・。

次回 進撃の整動鍼(4) 整動鍼を、君に です。

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