院長の話

進撃の整動鍼(4) 整動鍼を、君に

 

[no_toc]

前回までのあらすじ:活法のセミナーを受けて開業していたが、鍼は相変わらずトリガー。しかし限界を感じていたので整動鍼の可能性にかけることに。

 

振り返り、終了

 

前回、話が過去に戻ったので、時系列をもう一度整理します。

 

 

 

今回は2015年末〜2016年の話になります。

この頃の僕は、まさに葛藤&葛藤の時期。

売り上げはだんだん下降してきており、このままではマズイ・・・と危機感が募っていました。

 

暇な時に限って通販の宅配が来たりして、「ここ暇そうだな・・」と思われてるんじゃないかと意味のない妄想をしたりして徒らに時間を浪費。

前回導入した活法の評判は良く、患者さんも満足しているように見えるのですが、なぜか売り上げには反映されません。

 

考える時間だけはたっぷりあったので、自分なりに分析してみると原因の一つは施術内容の一貫性のなさにありました。

 

この時期はトリガーポイントと活法を組み合わせていたんですが、この2つが自分の中でうまく組み合わせれてなかったんですね。

 

例えるならば、珈琲と白米のようなミスマッチ。

 

活法は施術後に動きやすくなることが大きな特徴ですが、大量の鍼をうつトリガーポイントだと、施術後はだるくなることが多かったんですね。

 

その2つを組み合わせると、相乗効果どころか相殺しあってしまい、施術後は「楽になった気がするけどよくわからない」という言われる患者さんみえました。

 

また、技術の選択を でも書いたように「自分のやっていることに疑問を抱いていた」状態も続いていました。

 

今回はそんな大ピンチの時に整動鍼という救世主が現れる、という水戸黄門も驚く予定調和の話・・ではありません。

 

整動鍼って何よ?

 

この進撃の整動鍼シリーズも既に4話まできましたが、ようやく整動鍼の登場です。

 

そもそも整動鍼ってなんでしょう?

動きを整える鍼、と書いて整動鍼。

 

整動鍼は、活法研究会の栗原先生が、活法の理論ヒントを得て編み出した鍼の治療法です。

 

特徴として、

・少ない刺激

・運動器疾患(肩こり、腰痛など)に強い

・理論がシンプル

・ツボに鍼をする

これ以上の詳しい理論はこちらのページをごらんください。

があげられます。

 

正直、整動鍼を実際にみるまではこれらの特徴を聞いてもピンときませんでした。

 

トリガーポイントという「ツボなんてない」と考える人が多い畑にいた僕にとって、整動鍼もよくあるツボを使う東洋医学的な治療法の一つ、という印象をもっていました。

 

もっといえば、「トリガーポイントの中にあるツボに鍼刺してるんだろう、だったらトリガーポイントと大して変わらないんじゃね?」という穿った見方をしていました。

 

この時点では、整動鍼の特徴をほとんど理解していなかったんですね。

 

籠城か、打って出るか

 

栗原先生は、どのツボがどんな効果があるのか、一つ一つ検証していったそうです。

一つ一つ検証とさらっと書きましたが、一本鍼を打って、どんな場所に効いているか確かめるのは膨大な時間と労力が必要です。

 

想像してみてください。

ツボと思われる場所に1本鍼する

首の可動域を確かめる

肩の可動域確かめる

・・・

・・・

これを全身、指の関節レベルでひたすら探し繰り返すという行為。

 

かつてエジソンが電球を発明した際、電流を光に変えるフィラメントという物質がなかなかみつからなかったそうです。

最後は京都の竹が用いられたようですが、ここに至るまで、世界中からフィラメントになりそうな物資が集められたとのこと。

集めた物質をひたすら試すこと2000回。

それでも電気を光に変える物質は見つかりませんでした。

周りの人が「もう諦めた方がいい」という中、エジソンは

 

「私がみたところ、フィラメントになりうる物質はおよそ5500種ある。既に2000試した。あと3500だよ。」

 

と明るく答えたそうです。

結果はみなさんご存知の通り、めでたくフィラメントを発見して電気の発明者となります。

 

大げさかもしれませんが、栗原先生のエピソードもエジソンの話に近いものを感じました。

 

・・・・。

 

閑話休題(司馬遼太郎風)

 

そんな整動鍼、すごく気になってました。

気になってましたけどホラ、売り上げ下がり気味だとなかなか出費に対してシビアになるじゃないですか。

 

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

初代ドイツ宰相 ビスマルク

 

かつて桶狭間の戦いで、リスクを承知で奇襲、勝利を収めた織田信長のように、ここは打って出るべきかもしれません。

信長だって、城に篭っていたらどうなっていたかわかりませんよね。

 

そんなヒロイズムで自分を鼓舞しながら、整動鍼のセミナーを受講することにしました。

 

いってみた

整動鍼のセミナーは活法と同じ会場で行われます。

会場の雰囲気の描写に文字を割く必要はないと思うので、進みましょう。

 

整動鍼のセミナーは、栗原先生による取穴・刺鍼デモの後に参加者同士で取穴・刺鍼するという構成で行われます。

 

ここで重要なのは、栗原先生によるデモの場合でも、参加者の中で症状がある人を募り、刺鍼前と刺鍼後でキチンとビフォーアフターも確認する、ということです。

まさに直球勝負、効果に自信がないと不可能な一発勝負です。

しかし、ここではまさに整動鍼の独壇場。

手品ショーでもかくや、というくらいに次から次へ驚くべき治療が繰り広げられます。

 

特に印象的だったのは腹背編で最初に取穴するツボ。

とある有名なツボですが、そこに鍼を1本うつだけで首の可動域が手品かよってくらいに劇的に変化してしまいました。

 

1本で、劇的な改善。

 

今まで、大きな変化を出すには鍼の本数をとにかく増やすしかないと思っていた僕には衝撃でした。

 

どうやら、ツボとやらの存在を信じなければならないようです。

 

しかし、「信じるものは足すくわれる」が口癖の僕はまだ信じきれていませんでした。

 

内心、(栗原先生のような有名な鍼灸師がやったからこそ、変化が起きるのかも。)と思う部分もありました。

 

ところが、デモ後に参加者同士でツボに鍼をすると、驚くべきことに同じように首の可動域が変化。

 

慌てふためいて周りを見渡すと、どうやら周りの参加者同士でも同じ結果が出ている模様。

誰でも結果が出ている・・!

受講前のツボのイメージとは違い、もっと繊細かつ明確なもので、トリガーポイントとは完全に別物のようでした。

 

栗原先生は群馬県で養気院という鍼灸院を経営しつつ、この整動鍼の理論が正しい=誰がやっても同じ結果がでることを証明する為、遠く離れた東京で、品川カポスを開院して見えます。

すごい開院理由もあったものですが、この効果をみてしまうと納得せざるをえません。

 

充実のセミナーが終わった後、まるで今までの迷走ぶりが嘘のように視界がクリアになりました。

 

 

 

 

整動鍼、導入

習ったものは使ってこそ。

早速整動鍼を治療に導入してみると患者さんの評判は上々です。

 

腹背編でお腹の症状や首の症状へアプローチが可能になり、四肢編で肩関節や下肢症状への対応力があがりました。

 

初めて鍼を受けた時、鍼ってすごいと心から思ったあの感じ。

その時の興奮や感動か再来したようで心踊りました。

整動鍼効果もあって、下がり続けていた売り上げはどうにか下げ止まり。

 

自分の中で腑に落ちていなかった技術面でのバランスも、整動鍼ー活法の組み合わせでミスマッチが解消されました。

 

しかし整動鍼を導入しても状況が激変したわけではありません。

 

グリーンノアが飛躍するにはもう一手、どうしても必要なものがありました。

 

次回 進撃の整動鍼(5) 院のかたち サイトのかたち です。

-院長の話