鍼はなぜ効くの?

      2017/05/29

過去の戦歴

過去、自分の治療に関わることは常に自身が体を張って確かめて参りました。

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そして今回も、自らの手(と偉大な先人の力をお借りして)で証明する時がやって参りました!

 

鍼の作用がわからねえええ

いきなり不安になる文言で失礼します。

ワタクシ、鍼灸師でありながら鍼の作用/機序を完全には把握していないことをここに謝罪します。

もちろん、教科書の内容や基本的な資料にはもちろん目を通してますよ。

科学的事実に基づけば、鍼は鎮痛作用/抗炎症作用がメインなのもわかってはいますが、それだけで説明がつかないことが多いのも事実。

 

例えば、背中に1本鍼打つだけで肩があがるようになったり、膝に1本打つと腰が曲がるようになるといった現象を鎮痛作用だけで片付けていいのでしょうか?

東洋医学の神秘といった一般の方から縁遠い言葉で曖昧にしていいのでしょうか?

とまあ偉そうに提言しているばかりではダメなので、今回は岡山の某先生に機会を頂き、一つの実験をして参りました。

 

臨床中に湧く、様々な疑問。

今回はこちらのNiro200NXを使用し、鍼を打つとどう血流が変化するのか数値化・グラフ化いたしました。

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(浜松ホトニクス社より)

詳しくはリンク先を読んで頂くとして、ざっくり言えば

血中のヘモグロビン数を数値化することで、動脈血/静脈血の動きがわかる素敵な機械です。
(ドップラーのように視覚化はできないが、プローブの影響を受けないのでよりリアルなはずです)

 

先程の話と少しかぶりますが、開業してからも、施術中に起きる現象について疑問がたくさんありました。

・鍼を打つと血流が良くなると書いてあるけど、どの程度なのか?

・持続時間はどのくらい?

・どのタイミングで血流が良くなるのか?

・仮に鍼を打っても血流が良くならなかった場合のアイデンティティは?

・そもそも、鍼うつ人間にスキル差がある以上、教科書をそのまま受け取っていいのか??

 

大きな声で言うのは憚られますが、痛い場所に直接鍼をうって響かせた場合、血流量が打つ前の半分以下になって回復しなかったという話もありました。

 

自分で試してないのでなんとも言えませんが、これが事実なら鍼うって血行良くなって〜という機序が根底から崩れることになりますね。

とまあ、御託はこの辺にしていってみましょう。

(ちなみにこの日、4時間ほど寝坊&名古屋ー岡山の道中に低気圧直撃で死ぬかと思いました)

 

審判の日

ボタンがあったら押してみよう。新商品は買ってみよう。

そんな試してガッテンを地で行く人生。

しかしこの日はとにかくビビってました。

もし自分の鍼で血流が全く変化しなかったらどうしよう。

存在意義が問われる中、行った実験の結果がこれです。

・用語集

TOI(%) 組織酸素化指標

組織中の酸素化ヘモグロビンの割合

ΔO2Hb 酸素化ヘモグロビン濃度変化

動脈血が増えていると増加

ΔHHb 脱酸素化ヘモグロビン濃度変化

静脈血が増えている増加

ΔCHb 総ヘモグロビン濃度変化

ヘモグロビンの濃度の変化

nTHI 正規化組織ヘモグロビン指標

スタート時を1とした時のヘモグロビンの変化。

↑鍼をうってTOI(%) 組織酸素化指標ΔO2Hb 酸素化ヘモグロビン濃度変化に変化が起きるのか、またその変化はどのような意味を持つのか、が今回の焦点です。

そして結果は・・

 

・実験結果 その1 左足のツボに鍼した時の腹部の変化

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安静1分後、仰臥位で左足のツボに刺鍼して置鍼したデータ。

測定箇所は下腹部です。

刺鍼後からTOI(%) 組織酸素化指標ΔO2Hb 酸素化ヘモグロビン濃度変化が確認できます。

遠隔部に変化が起きていることを確認できるデータですね!!

 

・実験結果その2 左下腿に鍼した時の頚部(首)と腰部の変化

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伏臥位で左下腿後面のツボに刺鍼。

チクッとした痛み(一次痛)が出たので、痛覚反射の影響で血流が変化した可能性を疑い、しばらくしてから反対側の下腿の毛を抜いて痛みを出して確認しましたー①

また、刺鍼してない側の”下腿のツボでない場所”に刺鍼ー②

①、②共にツボに刺鍼した時ほどの変化を測定せず。

痛覚反射で血流変化したのか疑惑どこに鍼しても血流変化するんじゃない?疑惑をある程度晴らすことができました。

言い切るにはもっと量が必要ですけどね。

 

・実験結果その3 左手に鍼した時の頚部(首)の前面の変化

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CH-1(上側)が左頚部前面、CH-2(下側)が右頚部前面です。

仰臥位でまず頚部(首のことです)を左右に回旋して可動域のチェック。左回旋に制限確認。
(この時の血流変化も面白いですね)

左手のツボに刺鍼。

4分後、再度頚部の可動域を確認。左回旋の可動域改善を確認。

左右差がはっきり出た例。

可動域が変化してる側の血流が増加してるのも、興味深いデータです。

 

以上のような結果が得られました。

控えめに言って、「鍼を打てば離れた部位の血流に変化が起きる」と言えそうです。

 

見えてきた次の目標

もちろん、この結果だけで鍼の作用が完全に解明されたとは言えません。

ある意味、糸口を掴んだ、という表現くらいが正しいのかもしれません。

 

とはいえ、鍼を打った時の血流の動態観測はなかなか目にすることのないレアな実験だと思います。

なんせ実験そのものに慣れていないので、今にして思えば色々気になるところもございます。

具体的には

・安静時間をもっと確保したい

・置鍼時間を確保し、血流変化が収束していく時間をみたい。

・局所血流の変化

・マッサージver.も必要

 

挙げればキリがないので、そのあたりはまた次回ということで。

 

そして、この先は「鍼を打つと○○が△△した結果、血流が増加する」

の○○と△△を埋めることが目標となります。

 

調べれば調べるほど自身の知識不足を知るばかりですが、過去「1km走ったら息切れしてた状態」→「2年後フルマラソン完走」というじわじわ努力型なので、密かに目標へ向けて歩みを進めたいと思います。

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