治療がうまくいかなくて、泣いた話

      2017/10/06

失敗から学ぶこと

みなさんはしくじり先生というTV番組を知っていますか?

芸能人やスポーツ選手、各界の著名人が過去に犯した大失敗を授業形式で話すという番組です。

過去には堀江貴文氏、オリエンタルラジオの中田さん、メンタリストDaiGoさん、神田うのさん等、そうそうたるメンバーが出演。

だいたい売れて調子に乗っちゃったとかの話なんですが、やはりどんな人でも失敗してるんですよね。

(ちなみに僕はG・G佐藤の話が好きです)

 

もちろん、失敗なんてしない方がいいに決まってますが、人間である以上、どうしても失敗はあるんですよ。

そりゃ核ミサイルのボタンの管理業務とかを失敗したらダメですよ、あくまで一般論の話です。

 

ザ・しくじり

僕のやってる仕事も、失敗しちゃいけない仕事です。

失敗にも色々あり、例えば鍼を打っちゃいけないところに打っちゃったというのも失敗ですが、この場合は下手すりゃ医療事故。

呑気にブログ書いてる場合じゃありません。

もちろん僕はそんな経験はありません。

しかし、こんな経験はあるんですよ。

 

効果が出なくて、患者さんに無駄な時間をお金を使わせてしまった、という経験が。

 

I am 流しそうめんのざる

その方は顔のとある症状で当院にみえました。

半年間、どんな病院や治療を受けても効果なし。

流しそうめんのザルのように、最後の最後で辿りついたのが鍼治療=当院だったんです。

僕は断るかかなり迷いました。

 

鍼治療としては効果があるか微妙な症例です。

過去に同じ症例で一例だけ経験があるにはあったんですが、半年も経過した例は初めてでした。

 

こういう時に施術者としてのスタンスが出ますよね。

当時の僕はとりあえずやってみて、効果が出るなら続けてもらう/出なければお断りするというスタンスでした。

 

半端だな〜今思えば・・・。

 

鍼治療は自然科学の分野なので、ファジーな要素は仕方ない・・と半ば自分を納得させながら鍼をすると、効果がでました。

患者さん自身、ここ半年間に感じたことがない効果ということで、目を輝かせていました。

 

僕は平静を装いつつ、心の中でマイケルジャクソンのSmooth Criminalを踊っていました。

 

Are you ok?

 

・・おほん!

 

患者さんの希望もあり、通って頂くことにしました。

 

※守秘義務があるので、かなりボカして書いてます。

 

成績表coming

初めてきた患者さんが2回目に見えるとき、成績表をもらう気分になります。

といっても完全に病態把握できてる肩こりや腰痛などではそんなことないんですが、今回の例のようにあまり経験がない症例だと内心ドキドキしています。

 

結論から言えば、前回の効果は1日程度は持ったとのことでした。

1日を長いと捉えるか短いと捉えるか人それぞれですが、僕の予想ではこれからどんどん(大丈夫な)日数が伸びていくはずでした。

 

しかし。

 

それから何度治療しても、長くもって効果が2日弱しか持ちません。

5回目でも同じ。

6回、7回、変わらない。

 

これ以上回数を重ねても、おそらく大きな変化は見込めないでしょう。

完全にこちらの力不足です。

 

そして僕は患者さんに「10回を1つの区切りにさせてください」と伝えました。

 

患者さんも理解してくれたようです。

というか、してもらうしかなかったです。

 

会計の時、患者さんの後ろ姿を見るのが辛かったですね。

 

その後

数週間経った後、件の患者さんから電話をもらいました。

その後、病院で手術をし、なんとか症状が出る前の8割程度まで回復したとのこと。

患者さんには「先生は一生懸命やってくれて感謝してる」と言われました。

それを聞いて思わず僕は泣きました。

普通に考えたら罵られてもおかしくありません。

この涙は情けなさなのか、そういってもらって救われた安堵の気持ちなのか。

それを考える余裕はその時はありませんでした。

 

いつだって公式戦

僕らは患者さんの体を借りて実験しているわけではありません。

実験や練習は他のところで済ませ、患者さんの時は常に本番で臨まないとおかしいですよね。

では練習するのが難しい今回のようなレアな症例ではどうしたらいいんでしょう?

 

正直、確定した答えはまだありません。

 

しかしながら、現在の僕のスタンスとしては、治療までの道筋が明確に見えなければお断りする、です。

 

今思い返せば、心のどこかに「珍しい症例を治療してみたい」という考えがありました。

 

そういった探究心も時に必要かもしれないけど、それ以上に大切なものがあるんですよね。

 

自分の探究心が患者さんの利益を阻害した時、不幸な結果を招く。

 

そんなことを涙とともに思い知りました。

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