体の話

鍼灸師である僕が、積極的に運動を勧めない理由。

運動ブーム

運動は健康に良い。

あなたもそんな話を聞いたことはありませんか?

僕も患者さんからよく

 

「もっと運動した方がいいんでしょうか?」

「運動不足だからいけないのかな?」

 

そんな質問を受けることがあります。

実際はどうなんでしょうか?

今日はそんな疑問に答えたいと思います。

 

運動すると腰痛にもいい

運動が腰痛に良い影響を及ぼすことは、研究でも証明されています。

腰痛患者に対する運動療法がQOLに及ぼす影響

 

実際に僕らのような専門家も、腰痛の患者さんに対して

「安静にしているより動いた方が良い」

と説明する場合が多いです。

 

ひとことで「動く」といっても、この場合は

「腰痛だからといって寝て過ごさず、普段通りの生活をしてください」

というニュアンスで伝えるようにしています。

 

もっといえば、

運動する→筋肉が動く→血流が増加する→患部への血液流入→回復促進

という流れを阻害しないでね、という意味が含まれているんですね。

 

健康な状態ならそれでいい

ただ、これらのアドバイスはあくまで一般的なアドバイスに過ぎないんですよね。

あくまで万人向けの、均質化した話に過ぎません。

 

実際、

・腰が痛くて椅子から動けない

・立っていると腰が痛くて息するのも辛い

・寝返りすらうてない

といった状況で運動するのはアウト。

例えるなら、パンク寸前のタイヤで高速道路に走りにいくような行為です。

 

パンク寸前の状態とは

最近の患者さんでこんな例がありました。
草むしりとペンキ塗りをしたら腰が痛くなった60代の男性。
痛みあるが、寝たり起きたり程度の動きは問題ない。

しかし、この様子をみた奥さんがご自分のやっている腰痛体操をするようにご主人にアドバイス。

いざ体操してみたとこり、腰が急激に痛くなり、座った状態から動けなくなってしまいました。

 

この患者さんはパンク寸前の状態で走り出してしまったケースです。

本来は腰痛体操の前段階でご相談いただければ、ここまでの状態にならなかった可能性が高いです。

(奥さんも善意でやったことなので、複雑ですよね。)

 

検索しても・・

ネットを見れば、腰痛の時にどうしたらいいかなんて情報は死ぬほど出てきます。

しかし、それらの多くはとにかく無理しない等の、「早起きは健康にいい」くらいの比較的軽めの情報でしかありません。

だいたいが、一般論で解決出来たら誰もが名医になれちゃいますよね。

そんな簡単にうまくいくなら、僕だって教科書みながら鍼うちますよ笑

実際は患者さんの身体の状態/刺激に対する許容量など、直にみてみないとわからない部分が多いんです。

そこを間違えてアドバイスしようものなら、即腰痛を悪化させることにつながります。

 

検索以外の選択肢

運動が身体にいいか、と聞かれたら一般論ではそう、くらいしか言えないです。

ただ、実際に患者さんからこう質問されて、

 

「運動は身体にいいかもしれません、ただし一般論ではね」

 

なんて鍼灸師が答えたら、ムカっとくるじゃないですか笑

 

実際に運動はいいか悪いかではなく、人体の構造上、必要不可欠なんですよ。

ただ、急性腰痛など強い痛みがある場合、運動してる場合じゃないですよ。

そのあたりのさじ加減は、やはり対面じゃないとわかりません。

 

ネット検索でほとんどのことが調べられる時代。

将来的には人工知能が病気の診断する時代がくると思います。

 

しかし、まだまだ腰痛などの症状は対面で見てみないと分からない部分が大きいです。

言い換えれば、鍼灸師、マッサージ師、柔道整復師(接骨院の先生)はそのあたりのスペシャリストなので、迷った時はみせてください。

経験上、迷うくらいの症状の時に治療した方が、トータルの費用・時間は少なくて済みますよ。

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