腹筋と背筋のバランスが悪いから腰痛
こんにちは、鍼灸マッサージ GREEN NOAHの舟橋です。
あなたは腰痛になった時に「腹筋と背筋のバランスが悪い」と言われたことはありませんか？
僕も学生時代にそう言われたことがあります。
また、当院にみえる患者さんでもそう言われた経験をお持ちの方はわりと多いです。
しかし、本当に腹筋と背筋のバランスが悪くて腰痛になることがあるんでしょうか？
仮にそういうことが起きるとして、パッと見ただけで分かるものでしょうか？
少なくとも、僕は見ただけで判別できる自信はありません。
・風邪ひいた時は頭にネギを巻く
・頭のてっぺん押すと下痢になる
これらの話は迷信と言われていますが、完全に迷信と断じることは難しいですよね。
例えば、この世に黒い白鳥が存在しないことは証明することができません。
地球上のどこを探しても見つからなくても、存在しないことにはなりません。
頭の中ではいないと分かっていても、絶対いないとは言い切れないのです。
同じように、腹筋と背筋のバランスが悪くても腰痛にならないなんて、証明できるものではありません。
しかし、可能性が低いのではないでしょうか？というのが今回の提言です。
そもそも筋と筋のバランスは悪くなるもの？
腹筋と背筋のバランスが悪いということは、
・どちらかの筋力が強い
・どちらかの筋力が弱い
ということを指します。
当然のことながら、これは筋力を計測しないとわからないことです。
それもしないでただ「バランスが悪い」と言われるなら、根拠を尋ねてみた方がいいでしょう。
片方だけ鍛えるのは難しそうに思える
肘を曲げる時は肘を曲げる筋肉が縮んで、肘を伸ばす筋肉が伸ばされます。
意味が分かりませんね。
イラストにしましょう。
赤い矢印のところ、力こぶで有名な上腕二頭筋は、肘を曲げる筋肉です。
青い矢印のところ、上腕三頭筋は肘を伸ばす筋肉です。
この2つの筋肉はお互い引っ張り合う関係にあります。
肘を曲げると上腕二頭筋は縮み、上腕三頭筋は伸びます。
反対に、肘を伸ばすと上腕三頭筋が縮み、上腕二頭筋が伸びます。
こんな風に上腕二頭筋と上腕三頭筋は、こっちが縮めばあっちが伸びるという拮抗する関係になっています。
そして、上腕二頭筋を鍛える動き、例えば重りを持って肘を曲げる運動をする時、伸ばされる上腕三頭筋も同時に鍛えられているんですね。。
もちろん、上腕二頭筋に対する刺激の方が強いですが、極端に片方の筋肉だけ鍛えるのはなかなか難しいように思えます。
ちょうどいい例が見つかりました。
このポパイみたいな男性は上腕二頭筋だけ鍛えていたようですが、画像を見る限り裏側の上腕三頭筋も発達していますよね。
反対に、上半身と下半身のように離れた部位であれば、バランスを悪く鍛えることは可能なようです。
思わず目を疑うような画像ですが、上半身を鍛えても下半身の筋肉がつくわけではないようです。
ええ、書いてて思いましたがものすごく当たり前のことですね。
腹筋だけ鍛えることは可能？
話を腹筋と背筋に戻しましょう。
先の上腕二頭筋と上腕三頭筋のように腹筋と背筋も基本的には拮抗する関係の筋肉です。
（そもそも、腰痛に関わる筋肉を腹筋/背筋と二元論で話すことに無理があるんですが、今回はご容赦ください）
先の話を考えると、腹筋だけ、背筋だけと鍛えるのは結構難しそうです。
もちろん、しっかりしたトレーナーの元で運動すれば可能だと思いますが、自己流でやるのはかなり難しいです。
運動の刺激で腰痛になる人もいる
むしろ、腹筋と背筋のバランスが悪い！と言われて筋トレした結果、腰痛になるリスクの方が高いです。
腰痛は「無理な動き」をきっかけに起きることが多いもの。
腰が痛い最中に「腹筋と背筋のバランスが悪い」なんて言われて急に筋トレ→腰痛悪化というコースを辿る人は結構います。
仮に腹筋と背筋のバランスが悪いのだとしても、腰痛の真っ最中に腹筋と背筋の指導するのはかなりリスクを伴っていると思いますね。
運動習慣がないと腰痛になる、ただそれだけのこと。
運動療法が腰痛の予防に効果的なのは科学的にも証明されていますが、あくまで予防になるだけであって、腰痛の真っ只中に運動するのはオススメしません。
じゃあどうすればいいかと言えば・・そりゃあ鍼、ですよ。
健康の話って不確定要素が多いんで、めちゃくちゃな話でもみんな「フンフン」と聞いちゃうんですよ。
「腰痛の原因は腹筋と背筋のバランス」「本当は怖い家庭の医学」みたいなものをそのまま受け入れる行為が一番怖いことだと思いますよ。